承継
思いで

人生史ダイジェスト版 ー1分でわかる

江戸時代の儒学者、本草学者である貝原益軒は寛永7(1630)年から正徳4(1714)年まで85年の生涯でした。つまり益軒は、徳川家光・家綱・綱吉・家宣・家継という時代を生き抜いた人です。

人生史は、残した言葉から読み取ることができます。
怒ったあと食事してはいけない。心配事をしながら食べてはいけない。食べてからあと心配してはいけない。

口をきくのを慎んで、無用の言葉を省いて口数を少なくすることだ。たくさんの口をきくと、かならず気がへり、また気がのぼりもするので、ひどく元気を傷つける。口をきくのを慎むのも、また徳を養い、体を養う道である。

心は楽しませねばならぬ。苦しめてはいけない。からだは骨折らせねばならぬ。休ませすぎてはいけない。

『論語』に「若き時は血気方に壮なり。これを戒むること色に在り」とある。年の若い時から男女の欲ふかくして、精気を多くへらした人は短命である。

年をとってから後は、一日をもって十日として日々楽しむがよい。つねに日を惜しんで一日もむだに暮らしてはいけない。餓えて死んでも、死ぬ時までは楽しんで過ごすがよい。
喜怒哀楽愛悪欲の七情のうち怒と欲との二つが、もっとも徳を傷つけ、生をそこなう。人の心を溺れさせ、元気をへらすのは欲である