自然葬とは【承継について】

自然葬は、承継者に悩む人やお墓の管理に不安を抱える人におすすめです。散骨の場合、自然そのものがお墓のためお墓の承継という考え方がありません。樹木葬の場合、代々承継するものではなく、一代限りで供養を前提としています。

目次

自然葬とは(世界の自然葬)

自然葬Natural burial)とは、遺骨・遺灰を自然の中に還すという葬送方法で、散骨、樹木葬、土葬・鳥葬、水葬、風葬、海洋葬、バルーン葬、宇宙葬など、世界には様々な自然葬があります。

遺骨を伝統的な墓地に収めるという従来の埋葬形式から、遺骨・遺灰を 自然の循環の中に回帰させるという環境に優しい葬法として注目されています。


国内でも年々、自然葬を選択される方が増加し、樹木葬と散骨で5割近くを占めるほど大きな関心を集めています。自然葬は一般的なお墓を建てるよりも費用を抑えることができます。また、自分の代で完結することにより墓の手入れや継承問題を解決し、一部の樹木葬を除いては年間管理費がかからないため、遺族への負担を減らすことができます。

自然葬の種類

現在、日本で行われている自然葬は、主に火葬後の樹木葬散骨となります。(国外では、土葬・鳥葬・水葬・風葬などもあります)

樹木葬の場合、樹木を墓標(シンボルツリー)とする庭園タイプや、墓域に植物を植えて整備された公園タイプ、山林など自然と密接した場所に植樹する里山タイプがあります。樹木葬は主に樹木の周りに用意されたカロート(納骨室)に遺骨を埋葬するケースが多く、利用者が掃除をしたり花を供えなくとも綺麗な状態を維持できるよう管理されています。新たに高額なお墓を建立するよりも、購入時の金銭的な負担が大幅に軽減されます。

散骨の場合、海に撒く海洋散骨が主流ですが、バルーン葬空中葬、山や森など木々が生い茂る場所に散骨す森林散骨などもあります。散骨墓埋法の理由からマナーを守り、安心して執り行うためにも、国内外の散骨禁止エリアの情報や散骨当日の服装など、事前に葬儀社や散骨業者に確認しておくことが大切です。

自然葬の価格

樹木葬では、遺骨を埋葬できる場所は墓埋法で行政の許可を受けた「墓地」に限定されています。そのため事業主は、地方自治体、宗教法人(寺院・神社)と公益法人で、公営霊園と民営霊園の2種類があります。よってこの公営か民営かにより、樹木葬のタイプに合わせて価格も変わります。

■ 公営霊園の樹木葬:4〜70万円位

■ 民営霊園の樹木葬:30〜100万円位

(※大まかな目安です)

散骨では、自分で行う方法と業者に依頼する方法があります。海洋散骨は事前に粉骨業者に粉骨の依頼を行う必要があります。

■ 自分で行う散骨:粉骨料3万円前後(他に旅費交通費など)

■ 海洋散骨業者に依頼する散骨:5〜30万円位(数プラン有り)

(※大まかな目安です)

自然墓の承継

自然葬は、承継者に悩む人やお墓の管理に不安を抱える人におすすめと言えるでしょう。樹木葬の場合、代々承継するものではなく、一代限りで供養を前提としています。つまり、樹木葬ではお墓を承継する必要がありません。よって、樹木葬は、個人や夫婦、家族でご利用する方がほとんどです。代々受け継いでいくことはできませんが、管理費や永代供養費用がかかる場合がありますので確認が必要です。

散骨は、自然そのものがお墓のためお墓の承継という考え方がありません。ただし、散骨証明書などで位置情報・写真が付与されます。

自然墓のお墓参り

散骨では、一般的な墓参りや法事を行えないのでは? 墓標がないため墓参りを行うことはできない? という心配があります。樹木葬では、遠方のためなかなかお墓参りは行けない! などの懸念があります。

このような問題解決に、近年ではペンダント、セラミックプレート、宝石、自宅墓などを自然墓と組み合わせる方がいます。また、ご遺族や友人の供養の場を作りたい場合、お悔やみサイト(海外では、想いでサイト=online memorial)を作成し、悔やみサイトにアクセスするQRコードなどを仏壇、ペンダント、写真立てなどに追加する方もいます。

メモ:日本では従来、両墓制(りょうぼせい)と呼ばれる2つのお墓を持つ風習があり、「埋め墓(葬地)」・「詣り墓(まいりはか)」を有していました。この「詣り墓」が自然葬のお墓参で活用されます

まとめ

世界的な環境問題への関心から、ここ数十年で社会的地位を得た自然葬(Nartural Burial, Green Burial)です。しかし、各国の風習や宗教観の違いから未だ “自然葬の具体的な方法” が明確化されていません。(ちなみに、イギリスの自然墓地協会が1994年に設立され自然葬のガイドが作成され300以上の自然葬霊園が出来ました。他にもアメリカでは、Green Burial Council(GBC)が2005年に設立され、自然葬の基準化を認定制度をスタートしています)

その中で、自然葬は「自然に還る」という価値観に立っています。よって、自然葬には宗教性や儀礼性はほとんどなく、あくまで故人を偲び、残された人々が思い出を共有するための空間とその空間にアクセスする手段を提供するという特徴があります。

国内で、自然葬が選ばれる理由は、1)故人を自然の循環の中に還したい、2)お墓の継承を心配したくない、3)シンプルで低コスト、など人によって様々です。従来の葬儀に新しい選択肢として、自然葬は持続可能な葬儀とお墓の実現を目標にしています。